診断に役立つCT画像
検査目的は明確にしポイントを絞った撮影範囲で!
広範囲の撮影ではポイントを失い読影し辛くなることも。X線吸収差の少ない臓器はCT不向き。
CT画像は組織のX線吸収の違いをCT値として画像化しています。
このとき水のCT値は0です。
ここがズレてきますと読影医の目から違和感を覚える場合があります。
水ファントムを使ったキャリブレーションなど経時的な品質管理は必須となります。
多列のDASを使ったヘリカルスキャンが広く普及してきましたが、広範囲の撮影ではポイントを失い読影し辛くなる傾向もあります。
検査目的を明確に合ったプロトコルでの撮影が推奨されます。
複数の部位を撮影されるのであればそれぞれの部位ごとに検査目的を明確にしていただくことでより良いレポートへ繋がります。
また左右対称となるようなポジショニングや画像再構成を心がけて頂けると読影がスムーズとなります。
一方、X線吸収差の少ない臓器、例えば甲状腺や婦人科骨盤領域ではCT画像ではわかりにくいためUSやMRIなどが優先されることが多いです。
撮影方法は日本放射線技術学会の叢書(27)「X線CT撮影における標準化~GALACTIC~(改訂2版)」などを参考し症例に合った撮影を心がけていただきたいと思います
診断に役立つMRI画像
病変にあった適切なシーケンスの選択と撮像角度で読影結果が変わることも。
再構成画像は有効ですが原画像でわかることも多い!
MRI画像は磁場によりプロトンから放出されるエネルギーを捕らえて画像化しています。
様々な撮像シーケンスがありますがそこで得られる特徴と病変にあった適切なプロトコルの選択をしていただけることが望ましいです。
また依頼目的に合った撮像角度すなわち基準線の徹底やスキャン範囲にも心がけていただきたいと思います。
特に四肢の関節や椎間などは症例に合った適切さが求められます。
撮像後は画像濃度やコントラスト調整で読影のし易さが変わりますしMIP画像など3D作成の場合には有効となる信号の摘出は重要となります。
その際の元画像にも有効な情報となるケースもあるため同時に送っていだたくことがより良い読影結果へ繋がります。
一方、新しい撮像法や特殊な検査などを試みる際は事前にベンダー様と磁場のチェックを行っていただきたいと思います。
特にDWIBSなどでは不適切な信号が現れる可能性もありますので慎重な調整を行っていただくことが望ましいです。
撮像法に関しては日本磁気共鳴専門技術者認定機構のホームページなどを参考にしていただきたいと思います。
診断に役立つマンモグラフィ
マンモグラフィは繊細な画像。普段からの機器品質管理は欠かせない。
読影で最も重要となるのは画質とともにポジショニング!
マンモグラフィは一般的なX線撮影と異なる要素がたくさんあります。
1pixelは25~100μmで濃度分解能も14bit程度と他のモダリティでは見られない非常に繊細な画像です。
これは乳房の初期病変が微細であり非常に淡い濃度変化であるためそれらを表示させるために必要となります。
また乳腺と腫瘤はX線吸収差が殆どなくこれを画像化するにはX線エネルギーを低くせざるを得ません。
放射線被ばくも十分考慮して行う必要があります。したがいまして日々の機器品質管理は欠かせませんし、表示させるモニタを含めた読影環境もしっかりと整えておく必要があります。
また読影を左右する要因は画質もありますが、最も大切なのはポジショニングを含めた撮影技術です。
ブラインドエリアや重なりをなくすためにもン乳房を十分に引き出し圧迫し薄く伸ばした乳房での撮影を心がけていただきたいと思います。
撮影技師は日本乳がん検診精度管理中央機構の技術部門マンモグラフィ講習会を受講し認定を受け十分な経験を有していただくことが望ましいです。
読影医から一言「頭部領域」
CTは左右対称で十分なコントラスト画像を。
外傷でなければノンヘリカルAxilで十分。MRIではSagittalやDiffusion画像が有効。
CTでは白質・灰白質や脳溝などで淡い病変の有無を確認します。
左右対称で十分なコントラストがあればAxilだけでも診断は可能です。骨も読みますので頭頂部先端まで撮っていただきたいです。
MRIでは下垂体病変を観察するのでSagittal画像が欲しいですしDiffusion画像は有効です。
読影医から一言「胸部領域」
CTの精査なら2mm厚程度で撮影を。
肺野外も観察するのでFOVには気を付けて。左右対称の再構成Coronal画像は有効。
一般的な胸部CT検査は5mm厚で十分ですが精査の場合には小結節やGGN等を診断するために2mm厚程度のThin slice画像で確認したいです。
乳房内病変も診ますのでFOVから皮膚を欠かさないように撮影していただけると良いです。
肺内病変の確認に再構成Coronal画像は有効です。
読影医から一言「腹部領域」
CTでは単純検査の情報も有効。
造影では濃染パターンが重要。MRCPが上手く画像化できないならT2 AxilやCoronalで再撮影を。
CTでは造影検査は有効ですが単純から得られるも情報も欠かせません。
また計画スキャン画像も全体像を見る際に有効であり読影に生かされます。
MRCPでは呼吸同期が上手くいかないと良い診断となりませんが、T2 AxilやCoronalでカバーできることもあるので最悪の場合は追加を。